本記事はBAUERFEINDメーカーサイトからの転用で日本語訳にしたものです。原文はこちらからご確認いただけます。

血液のうっ血によって表在静脈が拡張し、主にふくらはぎや太ももの内側に目立つようになった状態を静脈瘤といいます。成人の約5人に1人が、この静脈の顕著な変化に悩まされています。

静脈瘤を放置しておくと、悪化して足に潰瘍ができたり、まれに生命を脅かす肺塞栓症になることもあります。そのため、静脈瘤の見分け方、静脈瘤が危険な理由、静脈瘤と闘うためにできることを知ることが重要です。

静脈瘤の見分け方は？

静脈瘤の典型的な状態は、結び目のような蛇行や静脈の集まりがあり、特に足では青色や紫色で目立っている部分です。

クモの巣状静脈瘤は、静脈瘤の中でもあまり目立たないタイプです。皮膚の下に赤みや青みを帯びた細かい「枝」ができるのが特徴で、クモを連想させます。クモの巣状静脈瘤は足に頻繁に発生し、時には顔にも発生しますが、無害とみなされています。

静脈瘤の症状とは？

静脈瘤は、上記のような見た目の変化に加え、以下のような症状も現れます。

・足がだるい、重い
・足の緊張（特に気温が高い時）
・夜間のふくらはぎや足の痙攣
・水分の蓄積による足首や足のむくみ（浮腫）
・足の灼熱感や突き刺すような痛み
・足のかゆみ

静脈瘤の原因は？

静脈弁は、血液が心臓に向かってのみ運ばれるようにするものです。この弁が適切に閉じられなくなる原因にはさまざまな要因が考えられますが、その結果、血液は静脈に溜まり、蓄積します。そして静脈壁への圧力が高まり、拡張し、最終的には表在静脈が静脈瘤として皮膚の下に見えるようになります。

一方で、静脈が弱い先天的素因によって家系内で頻繁に発生する事例もあり、静脈瘤の発症に関与しているようです。この場合、問題は先天性の結合組織の弱さであり、それがクモの巣状静脈瘤として現れるのは主に中年以降。医師はこの状態を原発性静脈瘤と呼んでいます。

静脈瘤が先天性素因の一部としてではなく、例えば血栓（深部静脈血栓症）の結果として深部静脈がうっ血するなど、病気が原因で発症した場合、この状態は二次性（続発性）静脈瘤と呼ばれます。また、心臓が弱いと、心拍数の低下（右心室不全）により血液が静脈内にたまり、静脈瘤の原因となることもあります。

遺伝的要因や既往症に加えて、以下のような危険因子が静脈瘤の発症を促進する可能性があります。

・運動不足
・高齢
・仕事での長時間の立ち仕事や座り仕事（在宅勤務の場合も含む）
・肥満
・ホルモンの変化（ピルの服用、妊娠、閉経など）
・締め付けの強い服装、ハイヒールなどのきつい履物
・喫煙、頻繁なアルコール摂取

静脈瘤は予防できますか？

健康的なライフスタイルは静脈瘤のリスクを減らすことができます。
バランスのとれた食事と毎日の十分な水分補給に加えて、定期的に運動することをお勧めします。散歩、ハイキング、サイクリング、水泳、体操などは肥満防止に役立つだけでなく、筋肉の静脈ポンプを活性化させます。

仕事では、長時間の立ち仕事や座り仕事はできるだけ避けるべきです。定期的に小休憩を取ったり、足の運動をしたり、時々足を上げたりして、血液を心臓に戻す静脈還流を助けることをお勧めします。また、ゆったりとした服装、履き心地の良いフラットな靴、医療用コンプレッションストッキングをお勧めします。

夏は、体を冷やすために血管が拡張します。
しかし、これはすでに弱っている静脈の逆流を増加させることがあります。静脈をサポートするには、定期的に冷たい水を脚にかけると静脈が収縮し、血液の流れが速くなります。

静脈瘤が危険なのはなぜですか？

進行状況は患者ごとに異なります。

静脈瘤を長い間治療せずにいると、静脈内の血液の逆流が血管に大きな負担をかけ、その負担が増大し続けるため、症状が悪化することがあります。進行すると静脈不全になり、下肢に潰瘍（静脈性下肢潰瘍）ができることもあります。

また、拡張した静脈に血栓ができるリスクも高まります。
このような血栓は静脈壁から完全に、あるいは部分的に剥離し、血液とともに心臓を通って肺の細い血管に運ばれる可能性があります。これが生命を脅かす血管閉塞を引き起こし、肺塞栓症としても知られています。そのため、静脈瘤は無視せず、早期に医師の診断と治療を受ける必要があります。

重篤な合併症のリスクは、適切な治療により、ほとんどのケースで大幅に減らすことができます。

下肢静脈瘤は、可能性のある原因を突き止め、危険な事態に発展するのを防ぐため、必ず医師（家庭医、静脈専門医、皮膚科医）にすぐに診てもらう必要があります。

静脈瘤はどのように診断されますか？

静脈瘤が疑われる場合は、医師による精密検査が重要です。
医師は、その症状が原発性静脈瘤なのか続発性静脈瘤なのかを判断します。また、深部静脈が侵されているのか、あるいは腎臓や心臓など、脚に水がたまる原因となる別の疾患を患っているのかを調べます。超音波検査などの様々な画像技術により、深部の変化を知ることができます。

静脈瘤の治療：症状にはどのように対処できますか？

診断が確定したら、医師が推奨する治療法を遵守し、実行する必要があります。
これには以下のようなものがあります。

・運動療法
・医療用コンプレッションストッキングによる圧迫療法

さらに、症状の進行度や誘因、患者の主観的な苦痛の程度や希望に応じて、治療担当医と相談しながら、以下のような外科的治療を選択することができます。

・小さい静脈瘤に対する化学的硬化療法
・レーザーや高周波を用いた硬化療法
・罹患静脈の外科的除去（「ストリッピング」またはその他の外科的処置）とその後の圧迫療法
・静脈温存手術（CHIVAおよび弁形成術）

医療用コンプレッションストッキングは静脈瘤対策にどのように役立ちますか？

医療用コンプレッションストッキングは静脈瘤の治療、特に症状の悪化を防ぎ、患部の静脈をサポートするために使用されます。また、静脈手術後のフォローアップケアにも欠かせない治療の要素です。

さらに、医療用コンプレッションストッキングは、静脈に負担をかけるような状況において、静脈瘤や下肢静脈血栓症を予防するために非常に有用です。静脈に外圧がかかると、静脈壁はより効果的に内圧に耐えることができ、静脈弁は再び閉じることができるようになるため、それ以上溜まることがなくなります。また、コンプレッションストッキングは心臓への血液の還流を促進し、血栓症のリスクを軽減します。